クオラス、125,000体のAIペルソナで生活者の反応を可視化するマーケティング・シミュレータ「shukuzu.ai(仮)」を開発
国勢調査等の公的統計から構成したAIペルソナ集団が、広告・商品コンセプトへの反応を短時間でシミュレーション

株式会社クオラス(所在地:東京都品川区大崎二丁目1番1号 ThinkPark Tower 7階、代表取締役社長CEO:松下 幸生)は、国勢調査をはじめとする公的統計を母集団の骨格として構成したAIペルソナ集団に対し、広告・商品コンセプトへの反応をシミュレーションできる生成AIマーケティング基盤「shukuzu.ai(シュクズ エーアイ)(仮)」を開発しました。
AIペルソナとは―― 実在する個人ではなく、統計上の分布に基づいて仮想の生活者を構成し、生成AIによってその思考や行動を再現する仕組みです。
「shukuzu.ai(仮)」は、公的統計に基づいて構成された125,000体のAIペルソナが、提示されたコンセプトやメッセージに対してどう反応するかを短時間で可視化する仕組みです。名称の由来である「縮図」の通り、日本社会の多様性を小さなスケールで写し取り、企画・制作の初期段階における意思決定を支援します。
開発の背景
商品開発や広告制作の初期段階では、数多くのアイデアを素早く検証し、方向性を絞り込むことが求められます。一方で、従来の定量・定性調査は相応のコストと時間を要するため、初期の探索段階で十分な数の仮説を検証しきれないという課題がありました。
近年、AIペルソナ(合成ペルソナ)を用いた反応シミュレーションの研究は、海外を中心に急速に進展しています。一方で、単純な実装ではAIペルソナの回答が画一的・非現実的になりやすいという難しさも指摘されています。当社はこの課題を、プロンプトの工夫ではなく母集団の設計そのもので解決しようと考えました。公的統計を骨格としてAIペルソナの分布を構成し、多面的な視点から反応を評価する仕組みを独自に設計しています。
「shukuzu.ai(仮)」の特長
公的統計を母集団の骨格とした125,000体のAIペルソナ
国勢調査等の公的統計に基づき、年代・性別・地域・職業などの分布を再現した125,000体のAIペルソナを構成。特定の調査パネルの回答傾向に依存しないため、母集団の代表性を統計の側から説明できます。
変数ごとに規定要因を切り替えるAIペルソナの割当設計
保有率などの属性は一律の確率で付与するのではなく、変数ごとに規定要因を切り替えて割り当てています。たとえば自動車保有は、地方では地理的要因を、都市部では所得要因を主たる規定要因として扱います。これにより、AIペルソナ集団としての反応傾向に構造的な裏づけを与えています。
外部調査データは「任意の補正レイヤー」
本システムは公的統計をもとに稼働します。そのうえで、自社調査や外部調査データを保有する場合には、実測値との差分を測定してAIペルソナの構成に反映する更新機構を通じ、補正レイヤーとして任意に接続できる設計としています。調査データは動作の前提条件ではなく、精度を高めるための選択肢として位置づけています。
平均値では見えない多面的な反応の可視化
単一の平均的な評価だけでなく、支持・不支持の分布やセグメントごとの反応差を提示。「誰に響き、誰に響かないのか」を早期に把握できます。
スピードとコスト
本格的な調査の前段として、多数のコンセプトを短時間・低コストでスクリーニング。検証サイクルを高速化します。
想定される活用シーン
広告コンセプト・コピーの初期スクリーニング
商品・サービスコンセプトに対する反応の把握
メッセージ・ネーミングの方向性検討
定量調査の前段におけるプレテスト・仮説出し
精度検証と限界について
当社は現在、実測データとの照合による精度検証(ホールドアウト評価)を進めています。本システムは、当たる範囲と外れる範囲を明示できることを信頼性の条件と考えており、検証結果は今後順次公開してまいります。
なお「shukuzu.ai(仮)」は既存の市場調査を置き換えるものではありません。初期検証を高速化し、本調査で確かめるべき論点を明確にすることを目的としています。実購買行動の予測や、統計的な有意差の判定を代替するものではない点をあらかじめお断りします。
プライバシーへの配慮
AIペルソナは公的統計から構成されたものであり、実在の個人に対応するものではありません。クロス集計における少数セルの抑制など、個人の識別可能性を排除するための統計的開示制御(SDC)を実装しています。
管理イメージ

▲ 左上:ターゲット定義画面で対象となるAIペルソナ層を細かく指定。右下:実行結果画面で反応の分布を可視化する(画面はイメージ)。
◼️開発責任者コメント
株式会社クオラス CX推進室 部長 兼 AI推進リーダー 澤田 潤一郎
「shukuzu.ai(仮)」で重視したのは、ペルソナの数を増やすこと自体ではなく、日本の生活者の分布をどれだけ忠実に写し取れるかです。年代・性別・地域・職業といった軸で細かくセグメントを切っても、各層に十分な人数が残り、集団としての反応の傾向を安定して読み取れること。そのために必要な規模を公的統計の分布から逆算した結果が、125,000体という設計です。作って終わりにせず、実際の反応傾向と照らし合わせながら日々較正を重ね、生活者像の解像度を高め続けています。
◼️代表コメント
株式会社クオラス 代表取締役社長CEO 松下 幸生
生成AIは、広告・マーケティングのつくり方そのものを変えつつあります。そのとき問われるのは、SaaSを借りて使うのか、自ら持つのかという違いです。「shukuzu.ai(仮)」は、外部のSaaSを導入するのではなく、私たち自身の手でAIペルソナから設計し、磨き上げてきた取り組みです。生活者を起点に価値を生み出すという当社の姿勢を、AIの時代にどう体現するか――その一つの答えがここにあります。当社はこうしたAIの開発・活用を全社的な取り組みとして推し進め、クライアントの皆様に提供できる価値を高めてまいります。
今後の展開
当社は今後、AIペルソナのセグメント精緻化と評価精度の向上を継続的に進めるとともに、自社の広告・マーケティング支援業務への活用を推進してまいります。あわせて、外部パートナーとの共同検証についても検討を進めています。
※「shukuzu.ai」は商標登録出願中です。