単なる楽曲宣伝ではない。
これは、ビジネスなのだ。
とある音楽レーベルを担当しています。音楽レーベルをクライアントに持つプロデューサーの仕事といえば、みなさんはどんな仕事を想像するでしょうか。一般的なものだと、新しい楽曲のリリースに合わせてTVCMやOOHなど広告枠を用意するイメージかもしれません。それは半分正解で、半分違う。私はプロデューサーの仕事とは、音楽レーベル様のパートナーとして、ビジネスをつくることだと捉えています。
ビジネスをつくるとは、クライアントの指示通りに広告枠を用意することではなく、こちらから提案することです。そのアーティストや楽曲に合うもの、今世の中で注目されるメディアや広告手法などを、総合的に組み立てる。手段にも囚われません。イベントやYouTube企画、ブランドから協賛を募ったタイアップ。アーティストやレーベルと同じ目線を持ち、伴走します。
レーベルの次に、
近い場所からサポートする。
アーティストへの伴走は、アーティストのデビュー前から始まることもあります。たとえば最近では、メンバーオーディションの運営を任されたことも。オーディションからアーティストの成長する様を見ていると、自分も成長しよう、このアーティストに貢献できるプロデューサーになろうと、何度でも気が引き締まります。
エンタメ業界には華やかな雰囲気がありますが、ある種地道で泥臭い努力の重要性も、アーティストの姿勢から学ぶことができます。デビューしたからといって安泰ではない。むしろ、デビューはスタートに過ぎません。コツコツとパフォーマンスの質を高め、全国の商業施設イベントを行脚しながら宣伝活動を行います。もちろんプロデューサーは、その全国行脚にだって帯同する。その活動がビジネスとして大成するよう、戦略を練る。音楽レーベルの次にアーティストの近くにいて、成長をサポートする仕事なのだと考えています。


好きは大事。
しかし固執はするな。
広告業界にいると、広告が「生モノ」であることを実感します。次々と新たな手法が生まれ、トレンドはすぐに変わる。だってTikTokのショートドラマがこんなに流行するなんて、5年前は誰も予想しなかったでしょう? 音楽もそうです。日本国民全員が聴いている大ヒット曲は今やほとんどなく、それぞれの好きを追うことが当たり前だし、家でひとりで音楽をつくることできるようになりました。
プロデューサーは、この変化に敏感であることがとても重要です。もちろん自分の好きなものやこだわりも大切。しかしひとつのことに固執して、世の中の変化に置いていかれてしまったら、ビジネスを生み出すことは難しくなってしまいます。自分の好きなものを活かしながらも、世の中へのアンテナを張り続ける。そうすることで、音楽レーベルにとって唯一無二のパートナーになれるのです。





























