プランニング3部
広告会社なら、ジャンルも手段も無限。
アーティストと広告会社の違いって、どんなことだと思いますか? アーティストには、クライアントがいません。自分自身の考えを自由に、世の中へ発信するのが仕事です。一方広告会社にはクライアントがいます。クライアントのことを代わりに世の中へ伝えたり、クライアントの課題を解決するのが、広告会社の仕事だと考えています。
実は私自身、以前はどちらかというとアーティスト側を目指していました。漫画家になりたかった。しかし就職活動を機に、「なぜ漫画家になりたかったんだろう」と改めて振り返り、考えをハッキリさせることができました。私がやりたいのは、自分の生み出したもので人の心を動かすこと。ならば手段は漫画に限らないだろうと気づいたのです。広告会社ならば様々な分野のクライアントと出会えるし、プランナーとして手法にとらわれずコミュニケーションを考えることができることに期待をしました。
アイドルも、製鉄も、原作130巻のゲームも。
総合広告会社のクライアントは、実に多様。その度に猛勉強が必要で、アイドルに詳しくなることもあれば、製鉄についてひたすら調べていることもあります。どんなクライアントを担当しても必要なのは、毎回120%のパワーを注ぐこと。でなければ、クライアントにも、その先にいる広告を受け取る人にも、全く響かないもので終わってしまうと思います。
少し前に携わったプロジェクトで、漫画原作のゲームに関するプロモーションを担当したことがあります。私は原作漫画を知らなかったので、依頼を受けてから猛勉強です。三日三晩寝ない覚悟で、原作約130冊を隅々まで熟読。120%自分が作品のファンになってから、提案へ臨みました。クライアントは「こんなに作品を愛してくれる人がプランニングをしてくれるなんて!」と喜んでくれましたし、施策に対するSNSの反応も好評。まず自分自身が全力で挑むからこそ、人の心も動かせるものになると実感することができました。
チューニングは精密に、振り切るときは120%で。
よりよいプランニングをするために、自分と世の中のチューニングを合わせることをいつも意識しています。先に120%のパワーを注ぐことが大切だと言いましたが、その120%が、世の中の感覚と全く違う方へ向かってしまっては意味がない。自分が面白いと思うものと、世の中が面白いと思うものが一致するよう意識することも大切なのかもしれません。
日々できることでいえば、SNSを見て「これって何で流行ってるんだろう?」と考えてみることだけでもいい。自分なりに掘り下げることで、世の中の興味や普遍的な面白さが見つかるはずです。チューニングを合わせて、その方向に120%振り切れたとき、より多くの人の心は動かせるのだと思います。